小説置き場

殉職報告書は届かない

灰原 零 | 現代異能都市ファンタジー連作短編お仕事もの

全員が、その話の終わりに死ぬ。

配送員、陰陽師、看護師、事務員——派手なヒーローではない五十人の裏方たち。世界の均衡を守る仕事の果てに、一人ずつ命を落とす。描かれるのは、それぞれの最後の一日。殉職報告書は提出される。だが表の世界には、決して届かない。全五十話の連作短編。

エピソード一覧 全20話

1
配送先不在
封印済み超技術の配送品。配送先が無人。待機中に荷物の封印が劣化し、対処不能に
2,858字 約5分
2
定時巡回報告
結界ポイントの深夜巡回。四十年間同じルート。今夜、いつもと違う亀裂を補修した瞬間
2,603字 約5分
3
認知汚染報告書
SNS映像の認知汚染パターンを解析する対策員。八時間の作業の末、自分が何を見ているか分からなくなる
2,811字 約5分
4
退去勧告
異界の滲みを封鎖する任務。一般人の退去を完了させた後、自分が出る前に境界が閉じた
2,740字 約5分
5
身元照会
アルカIDの管理部門で身元データの異常を追跡。削除を指示した組織に近づきすぎた
2,842字 約6分
6
遺書代筆依頼票
裏の世界の遺書代筆人。今日の顧客は制御不能の超能力者。遺書を書き終えた直後に能力が暴走
2,821字 約6分
7
解読不能通知
建設現場から出土した石板の緊急解読。文字が光り始める。解読完了が起動条件だった
2,819字 約6分
8
線路保全異常記録
深夜の地下鉄保線作業中、地図にない分岐器を発見。その先の三十七番ホームから戻れなくなる
2,831字 約6分
9
異常傷病経過観察
怪異に蝕まれた患者を看護する専門看護師。患者の傷口から花が咲き始め、翌朝、看護師のベッドにも
2,937字 約6分
10
年次報告
特管局地下書庫で殉職報告書の年次整理を四十年間続けた事務員。今年の報告が三倍。机の上で心臓が止まる
2,659字 約6分
11
有害コンテンツ削除申請
エンリングの下請けで超常コンテンツを監視・削除する仕事。ある投稿が認知兵器だった
2,764字 約6分
12
調剤過誤報告
神格存在への奉納薬を調合する専門薬剤師。四十年間無事故。最後の一回で成分比率を誤る
2,682字 約6分
13
新人研修実施要項
特管局の新人研修官。研修中に対象が本物だった。研修生を庇って狙撃される
2,517字 約6分
14
鑑定不能品受付票
裏社会の質屋で超技術遺物を鑑定する仕事。今日の品物は鑑定マニュアルに載っていなかった
2,525字 約6分
15
欠番の戸籍
裏の世界で消えた人間の戸籍を処理する専門員。自分の戸籍に未来の日付の死亡届が提出されていた
2,804字 約6分
16
深夜警備日報
霞崎区のオフィスビルの深夜警備員。残業社員を怪異から避難させようとして接触死
3,030字 約7分
17
観測施設消失届
山間部の秘密観測施設で宇宙からの信号を30年監視し続けた技術者。信号が返ってきた瞬間、施設ごと消失
2,827字 約6分
18
紛争仲裁調書
裏社会の組織間紛争を仲裁する老人。今日の仲裁で、双方が公平を望んでいなかった
3,085字 約7分
19
能力暴走対応記録
超能力が発現した幼児のケアワーカー。子どもの能力暴走を抑え込む際に、恐怖を全身で受け止め心臓停止
3,059字 約7分
20
移転先不明
特殊な引っ越し案件を扱う配送員。依頼人の転居先が異界だった。荷物を届けた後、戻り道が消えた
3,029字 約7分