再建屋
暴力は使わない。帳簿一冊で、人を社会から消す。
元国税局調査官の黛奏は、上司の横領を告発しようとして逆に証拠を捏造され、社会的に抹殺された。二年後、届いた匿名の封筒が暴く存在——信用破壊だけで人を消し、戦後七十年この国の裏を操ってきた秘匿組織「調停機構」。
同じ手口で壊された五人が集まり、「再建屋」を名乗る。潰された人生を情報と論理で再建しながら、組織の全貌を暴く。だが掘り進めた先に待つのは不都合な真実だった。機構がなければ、今の日本社会は成り立たなかったかもしれない。壊すべきは敵か、それとも自分たちが信じてきた正しさか。
エピソード一覧 全50話
1
封筒
雨の月曜日、封筒が届く。中身を読む奏の表情が最後まで変わらない
3,190字 約7分
2
欠落
封筒の資料を分析。四件の被害者に共通するパターンを発見。五件目の省略されたステップ5を追い、国会図書館で消えた人間の痕跡に辿り着く
4,136字 約9分
3
転居先不在
三人目の被害者の旧住所を訪ねる。家は更地になっていた。近隣で聞き込みをすると、奏より先に同じ質問をした人間がいたことが分かる
2,185字 約5分
4
調査屋
奏が先客の正体を追う。新宿の雑居ビルで身辺調査屋の名刺を見つけ、足を運ぶ。そこにいたのは、奏と同じ目をした男だった
2,090字 約5分
5
標的
桐嶋からリストの一部が開示される。六人目——まだ処理されていない被害者候補の存在。奏は封筒の差出人について新たな仮説を立てる
1,906字 約4分
6
生活費
調査の交通費が翻訳収入を圧迫し始める。桐嶋から六人目の所在のヒントが来るが、奏は動けない。金がない、という現実
1,960字 約4分
7
記録
桐嶋との二度目の接触。互いに手の内を見せない会話。奏は桐嶋の言葉を全て手帳に記録する
1,881字 約4分
8
看破
桐嶋が奏の身辺を徹底調査していたことが判明。奏は『知っていました』と告げる。沈黙が信頼の転機になる
1,794字 約4分
9
合流
不完全な信頼が生まれる。拠点が必要だという話。桐嶋が千葉の旧社屋の情報を持ってくる
1,770字 約4分
10
旧社屋
千葉の旧社屋を下見。段ボールに30年分の取材資料。住人の御手洗にはまだ接触しない
1,968字 約4分
11
逆解析
封筒の処理手順書を攻撃設計図として逆解析。クリーナーの手口を防御に転用する方法論を構築する
2,106字 約5分
12
左遷
奏の幼少期回想。税務署員の父が正しいことをして異動になった。奏は怒らず、構造に興味を持った。正義より仕組みを見る人間の原点
2,387字 約5分
13
空欄
桐嶋のリストに七人の名前。七人目だけ空白。桐嶋の言葉が一瞬詰まる。娘の存在が微かに示唆されるが、奏はその感情を読み取れない
2,393字 約5分
14
痕跡
永瀬詩音のオンライン痕跡を調査。SNSの断片から機構との接触を読み取る。接触前の下調べ
2,644字 約6分
15
相関図
永瀬詩音のアパートを訪問。壁一面にラフト崩壊の相関図が貼られている。目を合わせられないが、図の説明だけは雄弁な詩音
2,756字 約6分
16
交差
詩音の相関図と奏の資料を重ね合わせる。三つの名前が交差し、機構の構造の一端が見える
1,525字 約4分
17
条件
詩音のスカウト。条件交渉が奇妙にビジネスライクで終わる。対面月二回、チャット限定、作業中不可侵
1,715字 約4分
18
三人
三人で初の作戦会議。桐嶋は慎重、詩音は技術的可能性に興奮、奏は構造的に考える。旧社屋を拠点にする案が浮上
2,204字 約5分
19
侵入
詩音視点。機構のクラウドへの侵入試行。セキュリティの壁に阻まれ失敗。だが撤退時に次の突破口のヒントを掴む
2,165字 約5分
20
断片
二度目の侵入で断片ファイルを取得。機構の存在を証明するデータの一部。その中に『KURUSU』の名前と詩音の元勤務先の案件番号
2,629字 約6分
21
旧稿
1,492字 約3分
22
拒絶
1,695字 約4分
23
未稿
1,824字 約4分
24
三十年前
1,672字 約4分
25
参入
2,072字 約5分
26
拠点
2,820字 約8分
27
雑音
2,599字 約6分
28
放置
2,863字 約5分
29
共存
2,820字 約6分
30
残骸
3,086字 約7分
31
共存
2,802字 約5分
32
善意
2,548字 約6分
33
三箇条
2,929字 約6分
34
掃除人
2,593字 約6分
35
賭金
3,383字 約7分
36
対面
奏が単独で来栖に会う。来栖は逃げない。穏やかで丁寧。「僕に何を期待しているんですか」「期待はしていません。帳簿に載せたいだけです」
2,744字 約6分
37
動画
来栖が離脱のきっかけを語る。担当ターゲットが自殺し、娘が泣く動画がSNSに。「あの子の顔をまだ覚えています」。嘘か本当かは分からない
2,738字 約6分
38
合議
来栖の合流を奏が提案。桐嶋「保留」、詩音は沈黙(来栖の名前に何か引っかかる)、御手洗だけが賛成
2,626字 約6分
39
裏金
来栖が離脱時に持ち出した機構の裏金の存在。「活動資金に」。使うかどうかの議論。奏は使うと言い桐嶋の表情が変わる
2,689字 約6分
40
帳簿
裏金を「借りている金」として帳簿に記録。桐嶋が初めて怒る。その夜、六人目の再建に使った情報ルートが機構側から用意されていたことに気づく。泳がされていた
2,774字 約6分
41
執行
2,862字 約5分
42
検証
2,833字 約6分
43
迂回
2,940字 約6分
44
人脈
3,033字 約7分
45
役割
2,890字 約6分
46
前夜
3,220字 約7分
47
実行
2,999字 約6分
48
余韻
2,853字 約6分
49
食事
2,976字 約6分
50
折返
2,896字 約6分