小説置き場

群像劇 の作品

2作品

再建屋

梶 誠一 著

暴力は使わない。帳簿一冊で、人を社会から消す。 元国税局調査官の黛奏は、上司の横領を告発しようとして逆に証拠を捏造され、社会的に抹殺された。二年後、届いた匿名の封筒が暴く存在——信用破壊だけで人を消し、戦後七十年この国の裏を操ってきた秘匿組織「調停機構」。 同じ手口で壊された五人が集まり、「再建屋」を名乗る。潰された人生を情報と論理で再建しながら、組織の全貌を暴く。だが掘り進めた先に待つのは不都合な真実だった。機構がなければ、今の日本社会は成り立たなかったかもしれない。壊すべきは敵か、それとも自分たちが信じてきた正しさか。

連載中 全50話 約15万字

槻ノ森、犬も吠えず

戸守 礼司 著

犬すら吠えない街には、理由がある。誰もそれを口にしないだけだ。 東京多摩の槻ノ森市。犯罪率は低く、住民は穏やか。だがそれは平和ではなく、沈黙だった。元捜査一課刑事の神崎鶫は、この街で私立探偵を始めて奇妙なパターンに気づく。解決した事件の関係者が、後日静かに消えている。失踪ではなく引っ越し。だが行き先は実在しない。 論理と物証だけを信じる鶫の前に、地元ライターの綿貫律が立ちはだかる。「そういう話じゃないと思う」。人間の黒幕は暴かれる。だが根本の謎——この街がなぜ静かなのか——は、最後まで残る。犬が吠えない理由を、鶫はまだ知らない。

連載中 全25話 約8万字