伝奇 の作品
6作品
異能サブスクリプション
黒金ハル 著
課金額がそのまま強さになる世界で、少年の残高はゼロ。 脳内チップ一つで異能が手に入る闇のサブスクリプション。数万人がひしめく裏東京で、廃ビルの底辺エリアに暮らすクロヤの武器は、詐欺UIの解析、ソーシャルエンジニアリング、そしてゼロ距離の物理ハック——札束で殴り合う戦場を、頭脳一つで生き延びてきた。 ある日、最上位課金層から叩き落とされた令嬢が転がり込む。すべてを失った者同士、利用規約の矛盾を武器に、階層を永久に固定しようとする管理者「Root」に挑む。証明すべきは、たった一つ。無課金でも生きていける世界は、ありえるのか。
夜行性のノイズキャンセル
夜凪 透子 著
正しい情報だけが流れる街で、間違える自由が消えていく。 高校二年の槙透は、ある夜、通行人たちが一斉にスマホを取り出し同じ方向を向く光景を目撃する。SNSとAIが引き起こす認知汚染——「情報災害」。透はそれを感知する稀有な体質を持っていた。 トラブルシューター・飛羽に拾われ、夜の街を守り始めた透。だが市長の「美しく安全な街づくり」でAIが本格稼働し、市民は自ら監視し合い始める。飛羽が罠にかかり退場。テロリストの烙印を押された透の前に、衝撃の事実が突きつけられる——情報災害の基礎理論を生んだのは、飛羽自身だった。最後の切り札は「人間の不合理さ」。間違える自由を取り戻す百日間の戦い。
神様案件につき、就職は見送りました
社宮祈 著
異世界で三十年戦い抜いた。帰ってきたら、就活で全滅した。 久瀬恒一、外見二十二歳、中身五十二歳。面接で語れる「学生時代の経験」は異世界サバイバルだけ。内定ゼロの元勇者が流れ着いたのは、「帰る」「やりなおす」に関する願いが集まりやすい不思議な街・御影坂市。 巫女バイトの史乃、理論派の理澄、謎めいた古書店の少女・玻璃に巻き込まれ、願いと現実の継ぎ目がほころぶ「神様案件」を解決する便利屋に。だが帰還は終わりではなかった。自分が単なる帰還者ではなく、神様候補として送り返された存在だと知ったとき——願いを叶える場所ではなく、願いとの折り合いをつける場所が必要になる。
封の座を継ぐ者
神楽坂連 著
千年ひとりで守り続けた男と、継ぎたくない神社の娘が出会う。 深山渡、外見三十前後。飛鳥時代に人の時間から外れた行者見習いが、東北の神凪町で封印と結界を守り続けて千年。そこに神社の娘・宮守千早が、役小角由来の「視る力」と「封印の鍵」を宿してしまう。 千早の力を狙う組織が接近し、町の封印が軋み始める。渡は千早を守ろうとする。だがその守り方は、真実を隠し一人で背負う千年来の癖に染まっている。過去に守れなかった者たちの記憶が判断を歪める渡。守られるだけでは終わらない千早。継承とは家のしがらみではなく、未完の願いを自分の意志で引き受けること。千年の管理人が、ひとりで守ることをやめるまでの物語。
ひび割れの福音
著
壊れたスマホが映す画面には、いつも「最も都合のいい現実」が写っている。 トクリュウに使い捨てにされた18歳の少年・瀬戸蓮は、ポケットの壊れたスマホに宿る神器「八咫鏡」の力で死地を脱する。追手がなぜか違う角を曲がる。監視カメラの死角が偶然重なる。あり得なくはないが、都合が良すぎる——そんな不気味な「偏り」が、蓮の周りでだけ起きる。 だが奇跡には代償がある。使うたびに記憶がズレ、現実の手触りが薄れ、自分が「同じ自分」なのか分からなくなっていく。 神器を回収する秘密組織。デジタル裏社会を支配するかつての親友。逃げて、隠れて、時に小さく反撃しながら、蓮は問われ続ける。 ——都合のいい結末を選べるなら、人はそれを使うべきか?