小説置き場

ミステリー の作品

3作品

放課後の残響

逢坂みなも 著

犯人はいない。だが全員が、少しずつ加害者だった。 閉校が迫る県立星原高校。一年前、旧特別棟から転落した放送部員は、救助があと十分早ければ助かった。その十分は、誰か一人の悪意ではなく、複数の迷い、保身、沈黙が重なって生まれた空白だった。 新聞部の柊湊は、壊れかけた「能力」を持つ生徒たちの証言をつなぎ合わせていく。他人の夢を口にしてしまう少女。選ばれなかった行動の残像が見える少年。超能力は真実を暴く便利な道具ではない。人間関係を壊す不具合にすぎない。これは犯人探しではなく、なぜ全員が黙ったのかを問う物語。

連載中 全25話 約8万字

槻ノ森、犬も吠えず

戸守 礼司 著

犬すら吠えない街には、理由がある。誰もそれを口にしないだけだ。 東京多摩の槻ノ森市。犯罪率は低く、住民は穏やか。だがそれは平和ではなく、沈黙だった。元捜査一課刑事の神崎鶫は、この街で私立探偵を始めて奇妙なパターンに気づく。解決した事件の関係者が、後日静かに消えている。失踪ではなく引っ越し。だが行き先は実在しない。 論理と物証だけを信じる鶫の前に、地元ライターの綿貫律が立ちはだかる。「そういう話じゃないと思う」。人間の黒幕は暴かれる。だが根本の謎——この街がなぜ静かなのか——は、最後まで残る。犬が吠えない理由を、鶫はまだ知らない。

連載中 全25話 約8万字

封の座を継ぐ者

神楽坂連 著

千年ひとりで守り続けた男と、継ぎたくない神社の娘が出会う。 深山渡、外見三十前後。飛鳥時代に人の時間から外れた行者見習いが、東北の神凪町で封印と結界を守り続けて千年。そこに神社の娘・宮守千早が、役小角由来の「視る力」と「封印の鍵」を宿してしまう。 千早の力を狙う組織が接近し、町の封印が軋み始める。渡は千早を守ろうとする。だがその守り方は、真実を隠し一人で背負う千年来の癖に染まっている。過去に守れなかった者たちの記憶が判断を歪める渡。守られるだけでは終わらない千早。継承とは家のしがらみではなく、未完の願いを自分の意志で引き受けること。千年の管理人が、ひとりで守ることをやめるまでの物語。

連載中 全20話 約6万字