ヘビー の作品
4作品
再建屋
梶 誠一 著
暴力は使わない。帳簿一冊で、人を社会から消す。 元国税局調査官の黛奏は、上司の横領を告発しようとして逆に証拠を捏造され、社会的に抹殺された。二年後、届いた匿名の封筒が暴く存在——信用破壊だけで人を消し、戦後七十年この国の裏を操ってきた秘匿組織「調停機構」。 同じ手口で壊された五人が集まり、「再建屋」を名乗る。潰された人生を情報と論理で再建しながら、組織の全貌を暴く。だが掘り進めた先に待つのは不都合な真実だった。機構がなければ、今の日本社会は成り立たなかったかもしれない。壊すべきは敵か、それとも自分たちが信じてきた正しさか。
夜行性のノイズキャンセル
夜凪 透子 著
正しい情報だけが流れる街で、間違える自由が消えていく。 高校二年の槙透は、ある夜、通行人たちが一斉にスマホを取り出し同じ方向を向く光景を目撃する。SNSとAIが引き起こす認知汚染——「情報災害」。透はそれを感知する稀有な体質を持っていた。 トラブルシューター・飛羽に拾われ、夜の街を守り始めた透。だが市長の「美しく安全な街づくり」でAIが本格稼働し、市民は自ら監視し合い始める。飛羽が罠にかかり退場。テロリストの烙印を押された透の前に、衝撃の事実が突きつけられる——情報災害の基礎理論を生んだのは、飛羽自身だった。最後の切り札は「人間の不合理さ」。間違える自由を取り戻す百日間の戦い。
ひび割れの福音
著
壊れたスマホが映す画面には、いつも「最も都合のいい現実」が写っている。 トクリュウに使い捨てにされた18歳の少年・瀬戸蓮は、ポケットの壊れたスマホに宿る神器「八咫鏡」の力で死地を脱する。追手がなぜか違う角を曲がる。監視カメラの死角が偶然重なる。あり得なくはないが、都合が良すぎる——そんな不気味な「偏り」が、蓮の周りでだけ起きる。 だが奇跡には代償がある。使うたびに記憶がズレ、現実の手触りが薄れ、自分が「同じ自分」なのか分からなくなっていく。 神器を回収する秘密組織。デジタル裏社会を支配するかつての親友。逃げて、隠れて、時に小さく反撃しながら、蓮は問われ続ける。 ——都合のいい結末を選べるなら、人はそれを使うべきか?